ツボは「それを刺激することにより、身体に何らかの生理的変化をもたらす、体表に現れたポイント」と定義できます。
そして、関連するツボとツボを結び付けていき、エネルギーの流れ道として体系付けたものが「経絡」です。
ツボ(経穴)ー全身の臓器の情報
ツボとは
指先で探っていきますと、ツボの部分は周囲と比べて窪みとして認識できますので、「ツボ=壷」と呼ばれます。
ツボは、古代中国において、病人の特定の部位を押して刺激すると症状が和らぐ(痛みが減少する,嘔吐が止まる,むくみがおさまるなど)ことに気づいたことから発見されました。
その後、症状と特定のツボとの関連性が次々と発見されて行き、そのデータを積み重ねた結果、ツボの本質、すなわち身体内部の各組織や臓器の異常と体表上に現われるシグナルとの関係性が集成され、2000年以上も昔に鍼灸医学として確立されたのです。
犬、猫、馬、牛などの家畜のツボについても、同様に中国で確立されたものです。
ツボ(経穴)は全身に存在し、人では2000以上もあると言われています。
これら経穴のうち、経絡上にあるものを「正穴」、経絡以外にあるものを「奇穴」と言います。
正穴は数がきまっていますが(約360個)奇穴は千個以上あると言われています。
さらに、奇穴の内には個体によって、あるいは日によって場所が変わるツボ(阿是穴)もあり、これを含めると、ツボはまさに無数に存在すると言えるのです。
以上のように、ツボは全身の臓器の情報が体表に表れている生理現象として捉えられ、それぞれが、特定の臓器と、経絡を介して繋がっていると考えられています。
そして、ツボ刺激=臓器の刺激と考えられ、
鍼灸や指圧は「体表のツボに刺激を与えることによって、経絡を介して目的の臓器に良い刺激を与え、自然治癒力を励起することで、その臓器を治癒に向わせる療法」として現在まで伝えられてきています。
ツボは、臓器の状態が悪い時には容易に見つかりますが、異常の無いときには認められないこともよくあるようです。
また、同じツボでもその時の身体の状況によって、何に効くかが違ってきます。
そして、生物界の常として、ツボの位置には個体差があります。
ツボ図絵
身体の内部の、どの部分が悪いと体表のどの位置にツボとしてシグナルを出して異常を訴えるかを一覧表にしたものが、「ツボ図絵」です。
経絡-生命エネルギーの流れ道
東洋医学の基本的かつ重要な概念として、「氣・血・水」がありますが、
「ツボ理論」は、「氣=生命エネルギー」の流れを基にして確立されたものです。
東洋医学では、氣は一定の流路を流れていると考え、この氣の流れる道筋を「経絡」と呼びます。
氣は、血液やリンパ液などと同様に、一所に留まることなく、全身を巡っているのですが、
経絡は、この氣の流路として、体内では五臓六腑と連絡しつつ、体表では主要なポイントに経穴(ツボ)を開いています。
そして、氣はこの経絡を通って全身に隈なく行き渡り、いのちを支えてくれているのです。
「経絡」は経脈と絡脈の総称で、「経脈」は体内を直進する主流径路、「絡脈」は経脈から枝分かれして、全身を網目状に走る副流経路です。
実際の鍼灸治療や家庭でのツボマッサージに重要でよく使われる経絡は、「十二正経」と「十四経脈」と呼ばれるものです。
十二正経と十四経脈
万物と同様、経絡もまた陰陽に分類され、四本足で立った時に太陽が当たる部位(背中や足の外側など)を「陽」、日陰になる部位(お腹や足の内側)は「陰」とします。
十二正経とは、
前肢を走る 3陽経(大腸経、三焦経、小腸経)と 3陰経(肺経、心包経、心経)
後肢を走る 3陽経(胃経、胆経、膀胱経)と 3陰経(脾経、肝経、腎経)
以上の合計12パターンの経脈のことを言います。
十二正経は体の正中線を跨いで、左右対称に存在します(12x2で24本あります)。
十二正経は一定のパターンで体表を走り、氣はこれらの経絡内を一定の順路で常に循環しているとされています。
またこれら経絡は、体表を走ると同時に体内奥深くでも並行して走り、それぞれ対応する臓腑を通っています。
十二正経を簡単にまとめますと、
- ①前肢陰経(肺経、心包経、心経)は胸部に始まり前肢末端に終わる。
- ②前肢陽経(大腸経、三焦経、小腸経)は前肢末端から始まり頭部に至る。
- ③後肢陽経(胃経、胆経、膀胱経)は頭部より始まり後肢末端に至る。
- ④後肢陰経(脾経、肝経、腎経)は後肢末端に始まり胸部に達する。
さらに、体の正中線上には、背側に「督脈」、腹側に「任脈」と言う2つの経脈が存在します。
これら十二正経と督脈・任脈を合わせて「十四経脈」と呼び、主要なツボはすべてこの十四経脈の上に存在しています。
経絡については、まだまだ奥が深くて、切りがありませんので、ここいら辺で打ち止めにしておきます。
要は、マッサージをする際には、ツボだけではなく、それに加えて、そのツボが属する「経脈」の走行に添って、ツボの上下、前後もマッサージをしてやればより効果的ですよということです。